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"水”
2016年製作 / 1:00 min 作 カゲヤマ気象台
場所:アトリエ春風舎
演出:蜂巣もも
出演:伊藤彩里 兼桝綾 串尾一輝(青年団)
舞台監督・照明:黒太剛亮(黒猿) 美術:渡邊織音 音響:カゲヤマ気象台
宣伝美術:池田嘉人 制作:水谷円香
3人の男女が大きな、静かな池の前に立っている。
一滴雫が落ちてきて、そこから産まれたみたいだ。
彼らは互いに親子かもしれないし、全くの赤の他人かも知れない。
それぞれは何とも思えなかった家族や、自分の将来のこと、死にかけたことなどを訥々と喋り、また水位が上がり、飲み込まれて消えていく。
演劇もダンスも、物語を包容するような制約・土台が、観客、私を含む作り手に必要な事項です。
この作品では、その制約をずっと探していました。
本番が迫ってもその制約がなかなか見つからずに困り、戯曲にないシーンを付け加えました。
① 冒頭で、本編にはない家族のシーンを行う。 問題を抱えた家族の時間。
「光だ。」というセリフから始まる、再誕と一人の時間の濃度を増すために。
② 本編の孤独な時間の終局を、記憶の解明でまとめる。
この2点が眼差すものは、
この作品で大量に話されるモノローグは一人で喋れば孤独になるのではなく、家族が傍にいることで孤独になる、という仮説を立てたことによります。
家族の中での孤独、何も持ちえない、無力感を立ち上げる。
これは家族を見据えたときにとても普遍的なテーマでした。
バラバラの三人が持っているものは、各々の言葉の癖、思考の癖、性質、性格、好み。くらい。こういった人の姿が、ある池の前にあること、混濁状態であること。つきつめると何もない有り様。
あまり人に重点がないのかもしれない。演劇を行う上で初めて思ったことでした。
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